遊牧民

モンゴル北部の遊牧民に密着!リアルな遊牧民の生活を赤裸々に語ってみようじゃないか

モンゴルといえば大草原。遊牧民。
このイメージがかなり強いと思います。

現在、国民の半数弱がモンゴル国内の各地で遊牧生活を続けています。
ウランバートル市街地を出て1時間もすれば、大草原の中にぽつぽつと遊牧民たちのゲルが見えてきます。

日本にいたころは想像もつかなかった遊牧民の生活を体験することが夢の一つだったので、私は留学中に知人のツテを辿って、モンゴル北部の遊牧民家庭に2週間ほどホームステイさせてもらいました。

今回は、実際に体験した「遊牧民の生活」を赤裸々に語ってみたいと思います。

藤ミヤチ藤ミヤチ
なかなか明らかにされない遊牧民のリアルをお伝えします!

ホームステイ先について

私がお世話になった遊牧民の方たち

7月下旬から8月頭にかけて、私はホブスゴル県のとある遊牧民家庭に2週間ほどホームステイさせてもらいました。
県内のどこかは正確にわかりません(笑)

ウランバートル市街地から道無き道を20時間ほど車で走ってやっとたどり着きました。
そこは、モンゴル人でも現地の案内人がいないと到達できないほど離れた場所でした。

遊牧民の服装について

遊牧民の服装というと、民族衣装(デール)を思い浮かべる方もいるかもしれません。
テレビなどでモンゴルが取り上げられると、大抵きちんとデールを来た遊牧民が登場します。

しかし実際のところ、遊牧生活にも洋服が取り入れられており、普段の生活は(特に男性・子どもは)トレーナー・パンツなどで過ごす人も多いです。

一方、冠婚葬祭などのお祭りごと、遠方からの旅人を迎え入れる・見送るなど特別なことがあったときは、必ず男性・女性問わずデールを着用します。
デールの「普段着」としての役割が薄れ、少しずつ「正装」として位置付けられるようになっています。

ちなみに、私がホームステイしたのは真夏ですが、モンゴル北部は夏といえどもかなり冷え込みます。

特に朝晩は厚手のトレーナーやコートなどがないと寒くて震えるほどでした。
聞いたところによると、真冬は-40度を下回ることもあるそうです。

食生活について

限られた食材

遊牧生活では畑を作ることができませんし、スーパーなど買い物ができる場所も周囲にありません。
そのため、入手できる食材にかなり限りがあります。

実際に私がホームステイ中に食べた食材は、家畜である羊/山羊の肉・内臓、牛乳、少量の玉ねぎ、小麦粉、塩、乳製品、ぐらいです。

数週間に一度、何時間もかけて遠方の街まで買い出しにいくようですが、そこで買ってきた玉ねぎ、小麦粉、塩などはとても大事に使われていました。

これでも、夏は家畜をつぶすことができるので食材豊富な方らしいです。
冬は夏の間に蓄えた乳製品や残った干し肉などをメインでやりくりすると聞きました。

冬に備えて乳製品を作っている様子

ちなみに、私は毎朝しぼりたての牛乳をもらっていたのですが、これがめちゃくちゃうまかったです。

家族みんなで集まって食べない

遊牧生活では、食事は基本的に一人で食べます。
みんなで集まって食べるのは、特別なイベントごとのときくらいでしょうか。

しかし、これは決して仲が悪いという意味ではありません。

限られたコミュニティの中での生活になることもあり、家族をとても大切にしますし、近隣の家庭(といっても山を超えた先にすむ家族の話だったりしますが)との関係を大事にしています。

ただ、食事という行為そのものが「栄養補給のために必要なこと」というシンプルな位置付けにあり、食事を通して交流を深めるという意図はそれほどありません。

朝ごはん・昼ごはん・夜ごはんという考え方もなく、お腹が減ったときに自分の食べたいものを用意してさっさと済ませる、というのが当たり前でした。

インフラについて

電気について

電線などはありませんので、電気は容易に利用できません。
しかし太陽光発電の普及のおかげで、電化製品を使える人が増えてきました。

私が泊まった家は豆電球ひとつしかなかったのですが、近隣の家庭ではテレビとDVD/ブルーレイプレーヤーが置かれており、時々みんなで集まって映画などを楽しんでいるようでした。

水道について

定住しない生活において、決まった場所で水道を引いておくことは難しいので、近くの川などから水を汲んで生活に利用しています。
一日に何度か水を汲みに行くのですが、水汲みは大抵子どもの仕事のようです。

通信事情について

遊牧生活において、インターネットはおろか電話は基本的に通じません
なんとか太陽電池などで携帯の充電ができたとしても、周囲に基地局が設置されていないため利用はできません。

どうしても外部に連絡を取りたいときは、周囲で一番小高い丘に自前の即席アンテナを立てて電話をしていました。

トイレについて

もちろん水洗のトイレはありません。
基本的にその辺の草むらか、近隣家庭と共同のぼっとん式トイレで用を済ませます。

ただし、トイレといっても障害物もないひらけた場所に深めの穴を掘り、周囲3方に高さ1メートル弱の壁を立てただけのものです。

天井どころか出入り口の扉すらありませんので、かなり開放的(笑)です。

わかりにくいですが、写真左端の木組みのものがトイレ
左側にもずーっと草原が続いています

最初は慣れなくて、トイレに行くだけで緊張していた記憶があります。

住居について

木材が入手しやすいエリアだったので、木造の家に住んでいました。
といっても、季節ごとに住居を移すので夏限定の家ということになります。

モンゴルの家についてはこちらの記事で詳しく書いています。

移動手段について

近距離の移動や家畜の誘導などには馬を使いますが、長距離を移動するときには主にバイクもしくは車を利用します。

もちろん昔は馬がメインの移動手段でしたが、現代では5人くらいが無理やり乗った大型バイクや自動車を草原のど真ん中で見かけることが当たり前になりました。

草原のいたるところに、車の轍が幾筋も残っているのが見られます。

もし自分の車やバイクに少しでも不具合がおこれば、たちまちその場でなんとか直してしまうのが遊牧民たち。

厳しい大自然の中に身を置いてきたためか、問題が起きても自力でどうにかしてしまう逞しさを感じます。

1日の流れ

特別なことがなければ、生活サイクルはたいてい以下のようでした。

06:00ごろ
日の出直前ぐらいに起床
すぐ牛やヤクの搾乳を済ませ、家畜の放牧を開始

07:30ごろ
ご飯を食べたい人はこのタイミングで食事を済ませる
その後は、絞ったばかりの牛乳を使って各種乳製品を作るなど家事を行う

13:00ごろ
子牛・子ヤクを母親と同じ柵の中に入れて、乳が飲めるようにする
山羊や羊などはそのまま放牧させつつ家事・自由時間

17:00ごろ
再び牛や役の搾乳

21:30ごろ(日没直前)
放牧していた家畜を集めて柵にいれ、各自就寝

そして一日中、常に自分の家畜がどの辺りにいるかは気を配っており、離れすぎてしまうとすぐ「引き戻してくる!」と馬に飛び乗り駆けていきます

日本でいうと小学校に入る前くらいの小さな子どもでも、難なく裸馬を乗りこなすことができます。

上述したように車やバイクの利用も増えてきていますが、こういったところに遊牧民族としての血を感じます。

まとめ

遊牧生活といえば、民族衣装を着て、電化製品とは無縁の生活を送り、移動の際には馬に飛び乗り……というイメージがありましたが、実際に現地に行ってその固定観念は砕かれました。

ホームステイ先のお父さんが「ちょっと買い物にいく」といって、大型バイクに飛び乗って出かけて行ったのには驚きました。
特に、大草原のど真ん中でテレビとDVD/ブルーレイプレーヤーを見かけた時は、ど肝を抜かれました。

しかし、現地の人からすれば特別なことでもなんでもない様子です。

水道もなく、電話も通じない世界に、最先端の文明技術が混じっている。
大部分は旧来の生活スタイルを継承しつつも、ある分野では急激に近代化の波を受けている。

そして、彼らからすれば、その変化は日常生活の中に不協和音を奏でることなく溶け込んでいる

そのことに個人的には居心地の悪いアンバランスさを感じますが、現地の人からすれば当たり前のことで、私の考え方がずれていることになるのかもしれませんね。